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エストロゲンが女性に与える6つの恩恵とは?

生理
「生理(月経)なんか無くてもむしろ好都合!」

と感じている方もいらっしゃるかもしれません。

男性と同じように働く女性が増え、女性の生き方は大きく変わってきました。ですが、女性にしかできないことがあります。それは、出産です。 私たち女性は、初潮を迎えてから月に1回、妊娠できる準備をしています。働いている女性にとって、この生理というものは時にうっとおしく、面倒なものであったり、PMS(月経前症候群)や月経困難症により仕事に支障をきたすこともあり、「なければないで良い」「なんで毎月来るんだろう」というふうに考えてしまう人もいるのではないでしょうか?

増えている不妊治療

実際、女性の晩婚化も相まって、妊娠したい時に妊娠できないという人は増えているそうです。不妊治療も増えています。 日経新聞の記事によると、2017年に体外受精で誕生した子供は5万6617人です。16人に1人が体外受精で生まれた子ということになるそうです。

一方、体外受精に成功しなかった件数は44万8千件余りです。計算すると、11.2%しか体外受精に成功していないということになります。 「不妊治療をすれば妊娠する」という訳ではないのです。 体外受精には1回30万円~50万円かかります。「ボーナス1回分以上のお金を1日で捨てる経験を して心が折れそうになった」と不妊治療をした友人に聞きました。 最初から、高額なお金を支払う覚悟で不妊治療に臨んだわけではなく、保険治療内でできること から治療を開始したものの妊娠できず、徐々にステップアップ(治療のグレードをあげること)していく人が多いそうです。 不妊治療への保険適応を進める動きもある様ですが、そもそも治療自体が女性の体への負担になります。

 

私は、何よりも女性の体が妊娠しやすい体になるよう食事や環境を整えることが重要であり、それはいざ子供が欲しいと思ってからでは遅いと思っています。

というものの、
「そもそも妊娠する予定ないし、私は仕事に生きるって決めてる」 と考える女性に、「将来、気持ちが変わって妊娠したくなって、その時に困るかもしれないよ」 と言うつもりはありません。
妊娠しなくてよければ、月経がなくてもいいのか?
なぜ月経が適切にきたほうがいいのか? そのことについてもっと掘り下げてみようと思います。

女性ホルモン エストロゲンの作用

女性の月経周期(おおよそ28日)のうち、前半に増えるのがエストロゲンというホルモンです。 このエストロゲンの作用は主に言われるのは以下の2つです。

  1. 子宮内膜(子宮の中にできるフカフカのベッドみたいなもの)を厚くする
  2. エストロゲンの血中濃度が上がると排卵が促される

この作用によって、排卵後に卵子が受精し受精卵が着床することで妊娠につながります。 排卵されるとエストロゲンの量は減ります。受精しなかった場合、自然と子宮内膜が剥がれ、こ れが経血となり月経が起きます。
このエストロゲンですが、実際にはこれだけの作用ではなく、妊娠という生理現象を成立させる ため、女性の体をさまざまな方法で守っています。

1)皮下脂肪を増やす

→つわりなどで十分に栄養が確保できない中で妊娠を無事に成立させるため
今のあなたにとっての影響は

👉丸みのある柔らかな女性らしい体にしてくれている

エストロゲンは「お尻、腰回り、太もも」に皮下脂肪を増やし、丸みのある女性らしい体を作ります。成長期を迎えた女の子が体つきが変わってくるのもこのせいです。 一方、閉経してエストロゲンが低下するとウエスト周囲に皮下脂肪が溜まりやすくなってしまいます。「腰回りにお肉がついてきた」という声もよく聞きますね。 エストロゲンは健康的な女性の脂肪のつき方をさせてくれると言えます。

2)インスリンの作用を高めて糖の代謝を改善する。

→妊娠中は赤ちゃんに必要栄養である糖を与える必要があるため
今・これからのあなたにとっての影響は

👉血糖値が高くならないようにしてくれている。

エストロゲンはインスリンの産生と分泌の作用を高めることで糖の代謝を改善しています。インスリンは血糖値を下げる、という理解をしている人が多いと思います。実際には、インスリン は血液の中のエネルギー源である糖分を細胞に取り込むことで糖をエネルギーとして使えるよう にしているホルモンです。血液の中の糖が細胞に取り込まれるため、結果的に「血糖値が下がる」ということになります。
血糖値が高いということは、過剰な糖が血管の壁を傷つけてしまったり、糖自体が毒素になります。また、糖化反応といって、タンパク質と結びつき、AGEs(終末糖化産物)というものを作ってしまいます。AGEsは体のあらゆる臓器に蓄積し、認知症などのさまざまな疾患の原因になると 言われていますが、女性にとって大敵であるシワやシミの原因にもなります。高血糖な状態は免疫力も低下してしまいます。

3)骨の成長を促す、骨量を増やす

→赤ちゃん自身の体を作ることや授乳にカルシウムが必要
今・これからのあなたにとっての影響は

👉骨を丈夫にしてくれている。

閉経すると、骨粗鬆症になりやすい、と聞いたことはありませんか? 骨は、破壊されては新たに作られるといういう現象が同時に進行することで絶妙なバランスを取っています。エストロゲンは、骨の破壊を抑制し、骨の形成を促進します。そのため、骨のミネラル含有量 (骨量)が増えます。 特に、骨の中にはカルシウムが多く含まれているので、骨の中のカルシウムを増やす、というふうに表現されています。
女性アスリートでは、体重制限や激しいトレーニングによるストレス、競技に対する不安や緊張感などの原因が相まって無月経となる場合があります。骨量が低下して疲労骨折となる例もあるようです。それは、このエストロゲンが不足しており、骨が折れやすくなっているということが要因として考えられます。

4)血管を拡げる作用と心臓を守る作用

→赤ちゃんや胎盤を養うために血液の流れが必要であり、心臓も強くある必要がある
今・これからのあなたにとっての影響は

👉心臓や血管を守って病気を予防してくれている。

エストロゲンには血管を拡げる作用や、血栓を防ぐ作用があります。同年代の男性と比べ、閉経 前の女性の方が血圧が低いのはこのためです。さらに、血管を障害する物質(過酸化物質)を除 去する作用もあります。 最近では、血管への作用だけではなく、心臓の細胞(平滑筋細胞という筋肉の細胞でできてい る)の死滅を防いで細胞を強化するという、心臓を強くする作用も示されているそうです。 同年代の男性と比べると心筋梗塞や脳卒中といった心血管系の疾患を起こすことが明らかに少な く、女性は閉経をきっかけに女性の心血管系の疾患が増えるそうです。エストロゲンの作用に よって心臓・血管が守られているのだと考えられています。

5)皮膚の若さを保つ

👉皮膚が若々しく綺麗でいられる。月経周期の前半は特に肌が綺麗。

エストロゲンは、皮膚の厚さ、弾力性に影響を与えています。皮膚の潤いを保つのに必要なヒアルロン酸を保持してくれます。閉経した女性は皮膚の厚みが減り、乾燥して弾力が失われてしまいます。皮膚のコラーゲンが減ってしまうと、「しわ」ができやすくなってしまいますね。

6)イライラしない。スッキリとした気持ちにさせる。頭の回転が良くなる。活動的になる。

→妊娠や育児が無事にできるような自己主張や自己防衛ができる。
今・これからのあなたにとっての影響は

👉月経周期前半は特に頭がスッキリしている。前向きな気持ちになっている。

エストロゲンは脳の血流にも影響を与えているため、やる気、意思、ストレスへの対処、記憶、感情に影響を与えます。エストロゲンのレベルが高いと、恐怖心が消え、活動的になります。社会と関わりをもちながらも、自分の意思を正当に主張できる様な精神状態です。偏頭痛やうつ病が女性に多い理由も、エストロゲンが関係していると考えられています。

 

このように、わたしたち女性はエストロゲンの恩恵をたくさん受けています。 この毎月行われる女性の体の変化は、「無事に妊娠・出産するため」にとても巧妙にできていま す。母親になる女性自身の体を守るように自然とできているのです。月経が適切に毎月くるということは、エストロゲンを始めとするホルモンが出ている証であり、月経は「女性の体の健康のバロメーター」です。

「そもそも生理(月経)なんてなくなればいいのに」という気持ちから、「どうやったらいい生理(月経)がくるかな?」くらいに変わってくれたらいいなと思います。

何をしたらいいの?

女性の体を整えるには、東洋医学では「自律神経(気)、ホルモンと血液の循環(血)」が充実していなければいけないと言います。そのためには、「栄養、体を温めること、オンオフを切り替えて自分の時間を作ること」が重要です。

栄養は食べるものを変えれば良いので具体的にわかりやすいですが、効率よく体を温め、気持ちを切り替えるには「走る(歩く)」ことです。普段、車移動が多い人や、通勤でしか動かない人は、まず運動の習慣をつけましょう。「走る」といっても、早く走るのではなく会話ができるくらいの速さで20~30分以上がおすすめ です。血液の循環が良くなるだけではなく、赤血球が破壊されて血液が入れ替わります。無心になれると瞑想効果もあります。

「仕事で歩き回る」という方もいますが、歩く・走る時間を作ると 体は変わってくることを実感できます。走って疲れる場合は途中歩いても良いので、ぜひやってみてください。走れなければ歩くことから始めてください。

関連記事栄養療法にプラスして運動をはじめてみませんか?
アスリート向けの内容も含みます。ご自身にあった方法で適度に行うことが重要です。

では、エストロゲンが多ければ多いほど良いのか?
それは違います。 エストロゲンは子宮の細胞を増やす働きがあり、エストロゲンが多くなってしまうと子宮体がんのリスクが増えると言 われています。そのエストロゲンを増えすぎないように調整してくれているのが同じ女性ホルモンであるプロゲステロ ンです。 現代の女性は、プロゲステロンに比べエストロゲンが多くなってしまうことがPMSや月経困難症といったさまざまな 問題を抱えているといいます。 なぜ、エストロゲンが多くなっているかというと、肉や魚の摂取が増えたことで内分泌かく乱物質(環境ホルモン)と いったエストロゲンの作用をするものの摂取が増えてきてしまっているという説があります。このことについてはまた 後述しますね。

山下真鈴

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中学生の頃から肩こりの自覚あり。大学生の頃、バイト中に大腿部の痛みで足がつけないことがあり、自身の慢性的な体の不調は自覚していた。 看護師11年目、通い続け...

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