月のリズムと女性の身体

生理

みなさんは普段の生活でどのくらい「月」を意識することがあるでしょうか?
かぐや姫や日本の古くから伝わる文献にもよく出てくる「月」。
かつての日本では月の満ち欠けを1か月の基準として暮らしていました。
「月経」という言葉にも月が使われているように、常に月と同調して生きてきた私たちは、その身体のリズムだけでなくホルモンバランスも月と大きく関係していると言われています。
地球の70%は海でできていて、月が面している部分が常に満ち潮になる、といったようにその満ち引きは月の引力によって変わります。私たちの身体も60%以上が水分でできていることを考えると、海の水と同じように月の満ち欠けが私たちの身体と心に影響を与えていることはごく自然のように思えますね。

東洋医学における月

東洋医学においても人間と自然は大きく関係していると考えられており、中国医学の三大古典の一つである「黄帝内経」にも「女子は十四歳にして月事下り」と月経が「月事」と記され、また「月の満ち欠けが人体に影響を与える」とも書かれています。
満月と新月では身体の状態が異なる為、体中が満ちている満月には補うよりも溜まったものを巡らせる治療を、反対に身体中のものが動く新月には巡らす治療は避け、満月に向けてエネルギーを自然と増やせるような体調を整える治療を行うという風に、治療内容も月のリズムに合わせ変えて行っていたと言われています。
このように月の満ち欠けと身体の関係性を知ることは、自分の身体のケアを適切に行うことにも繋がるといえます。

月のリズムとは?

月は29.53日をかけて満ち欠けを繰り返していると言われています。
月の満ち欠けは地球と月と太陽の位置関係によって決まり、新月から三日月、上弦と満月を迎え、以降次第に欠けはじめ下弦となり、さらに欠け再び新月を迎えます。
この新月から次の新月までの満ち欠けの周期を朔望月と呼び、その周期が約29.53日です。
この朔望月が日本の旧暦である太陰太陽暦の1カ月の基本になっており、0.53日という端数を付けることはできないので、太陰太陽暦では小の月(1カ月が29日の月)と大の月(1カ月が30日の月)で成り立っているのです。

※太陰太陽暦
太陰暦を元に、そこに太陽暦の要素も付け加えられた暦のことを言います。
太陽暦:地球が太陽を1周する時間を基準にしている暦
太陰暦:月の満ち欠けを基準にしている暦

太陰暦のみだと1年間で季節と暦に11日分のずれが発生してしまうので、年単位で考えたときの季節と暦のずれをなくすために、主な部分は太陰暦を使用し、太陽暦でずれをなくすために設けられていた閏年の部分を組み合わせたものです。
太陰太陽暦では19年間に7回閏月を設けることで季節と暦の調整をしていました。
現在の暦は太陽暦で、4年に1度の閏日を設ける暦になっています。

古来の日本にみる月信仰

昔の日本では太陽信仰より、月信仰の方が盛んだったという説があります。
特に縄文時代の人々は自然に宿る精霊を信仰するアニミズム信仰が盛んで、現在のような照明器具のない古代においては特に満月の明かりは特別に神聖視され、満月の明かりの下で祭りや集会をしていたとも言われています。
便利な照明設備が整った現代では考えられませんが、古代の生活では月の明かりは日常に根付く大変必要なものだったといえます。またもう1つの大きな理由として考えられるのが、太陽を見ても日にちは分かりませんが、月なら見れば暦が分かるということです。
稲作を始めたばかりの頃の日本人にとって、収穫の時期を計算するためにも日にちを知ることは大変重要なことでした。月を見ることが日にちを数えることであり、それにより様々な祈りを行っていたことからも月が信仰の対象になったと言われています。

植物と月のリズム


また人間の身体だけでなく植物の成長にも月のリズムは関係しており、太陰暦に合わせると作物の成長が良くなるとも言われ、現代でも取り入れる農家の方も少なくありません。
実際に日本以外でもヨーロッパを中心に権威のある有機農法として定着しているバイオダイナミック農法(1924年ドイツの人智学者であるルドルフ・シュタイナー氏によって発表)など、種まきから収穫までを月の満ち欠けで行う農法も存在しています。
バイオダイナミック農法の根底にある「全ての生命は、地球上だけで完結しているのではなく、地球を含む宇宙の営みからも影響を受け、調和しながら生きている」という考え方は、まさにこの月と身体の関係にも同じ事がいえるのではないでしょうか。

女性の月経リズム

月経の周期は通常28日前後、卵胞期・排卵期・黄体期・月経期の4つの期間があり、月の満ち欠けの29.35日周期、満月・下弦の月・新月・上弦の月の4つの期間とほぼ同じです。
月経の周期はエストロゲンとプロゲステロンの分泌バランスによって調整されています。

卵胞期(低温期):【下弦の月にあたる時期】
卵巣の中の卵子のもとになる原始卵胞が成熟し、成熟卵胞から卵胞ホルモン(エストロゲン)が多く分泌、その影響で子宮内膜が徐々に厚くなります。
エストロゲンの分泌が最も盛んになる時期で、新陳代謝や副交感神経の働きも活発になり精神的にも安定しやすい時期です。

排卵期(高温以降期):【新月にあたる時期】
脳から排卵を促すホルモンが放出され、成熟卵胞から卵子が排出されます。(これが排卵です)基礎体温は一度少し下がってから上昇し、高温期へ移行していきます。ホルモンバランスが急激に変動することにより徐々に不安定になり、気分の起伏が激しくなることも。

黄体期(高温期):【上弦の月にあたる時期】
排卵後の卵胞が黄体に変化し、この黄体から黄体ホルモン(プロゲストロン)が多く分泌されます。その作用により子宮内膜がより厚く、妊娠に適した身体の状態になります。胸がはって痛みがでたり、眠気が増したり不眠がちになる、便秘など身体の不調が出やすく、精神面でもイライラしたり不安になったり、逆にやる気が出ないなど不安定な状態になりやすい時期です。
黄体ホルモンの影響で体内に水分を溜め込む為、むくみがひどく出る方もいます。

月経期(低温期):【満月にあたる時期】
着床しなかったときは子宮内膜が剥がれ落ち、血液とともに体外へ排出されます。ホルモンの分泌が急激に低下し、体温が下がることによって血行が悪くなる為冷えや頭痛、生理痛がでて気分も憂鬱になりやすくなります。生理が終わりに近づくと卵胞ホルモンの分泌が始まり、落ち込んだ気分から脱出していくリセットの時期です。

個人差はありますが、ひと月の中でこんなにも複雑に女性のホルモンバランスは変化していきます。

月のリズムと女性のリズム

欠けていく月の期間:解毒・放出

月経に当てはめるとリセット期にあたる満月から新月までの約14日は、欠けていく月の期間でこの期間は体が様々なデトックスをし、エネルギーを発散するのに向いている時期です。
手術や治療はこの時期に行うと成功率が高く、治癒も早いと言われています。
また月経は女性の排出の一つですが、満月の日に骨盤は最大限に開く為、満月の日に月経があると月経痛も軽くすむということになります。
また満月や新月の日に出産が多いという話を聞いたことがある方は多いかもしれませんが、これはお腹の中の羊水が原始地球の海水とほぼ同じ塩分濃度で、いずれも弱アルカリ性であり非常に成分構成が似ていることも関係があると思われます。
アメリカの医学博士であるアーノルド.L.リーバー氏の世界的ベストセラーである著書「月の魔力」によると「満月や新月の時期はそれ以外の時期に比べて約10%出生率が上がった」と書かれ「満月の日に出産件数が多いという傾向が赤道に近い国ほど顕著に表れる」と記述があります。増加率は10%ではありますが、月は地球の周りを回っていてその軌道は赤道に近いため、赤道に近い国は月に近い国といえるので興味深い話ではないでしょうか。

満ちていく月の期間:吸収

そして新月を過ぎ、また満月に戻るまでの約14日は満ちていく月の期間で、体が様々な吸収をし、エネルギーを蓄える時期です。より多くの栄養を吸収する時期なので、ダイエットやデトックスには向きません。反対にしっかりと身体を休め、土台をつくる時期に向いてます。身体を締め付ける洋服などは避け、リラックスを心掛けましょう。

自分のリズムを知ること

女性特有のホルモンバランスはここに述べただけでもこんなに短期間の間でめまぐるしく変わる為、普段の精神状態や体調に大きく影響を及ぼしている方がほとんどだと思います。
とはいってももちろん女性全員が月のリズム通りに生理がくるわけではありません。
文明の発達で沢山の便利なものが増えた現代では、昔のように自然のリズムと調和した生活ができないため月のリズムと女性ホルモンによる身体のリズムが合っていない女性が多いと思います。
一番大切なことは自分の身体のリズムを知ることです。
リズムごとに変わる身体や心の状態を知る、その上でこういった自然のリズムを感じ、身体を調和させることをほんの少し意識する、そんな些細な事だけでも、身体の調子は変わっていきます。
イライラする自分を受け入れることが出来たり、調子が悪い時は無理をせず自分を休めることが出来るようになるなど…その積み重ねが徐々に自然な月のリズムと身体のリズムが調和し、結果身体が整い快適に過ごせることに繋がるのではないでしょうか。

心と身体のつながり

私自身も中学のころから生理痛がひどく、社会人になってからは貧血で倒れたり、仕事に行けない日もあるほど悩まされてきました。それほどまででなくても、毎月生理の度に怒りっぽくなって人に当たってしまったり、何もないのに涙がでたり…誰もが一度は経験があることだと思います。
私も通っていた施術院の先生から月のリズムのお話を聞いてから、始めは半信半疑で月を見る日課を始めたのですが、月を見ることで時間の流れを感じられるようになったのか眠りが浅い日が減り、熟睡できる日が増えた事でとても快適に過ごせるようになりました。

現代は様々な化学物質に囲まれ、ストレスを感じることも多くあると思います。
便利なものも増えた反面、歩く時も携帯ばかり見てしまって、常に下を向いていることが多くなっていませんか?

まずは、毎日10秒でもいいので今日はどんな月だろう?と見ることから始めるのがおすすめです。

それは自然のリズムを感じることに広がり、身体のリラックスにも繋がっていきます。
「病は氣から」という言葉もあるように、心と身体は密接に繋がっています。まずはふと思い出した時だけでもいいのでほんの少しでも月を見上げて、少しずつ日々の生活で意識していってみてください。

山口菜生

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幼少期から水泳を始め、その後シンクロナイズドスイミングの選手としてアスリート生活を送る。全日本2位までいくも怪我により引退し、その後ダンスに転向するも選手時...

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