生理(月経)の血は意識して出し切る!

「規則的な月経=妊娠できる」ではない
健康な女性は規則正しく生理(月経)がきていて、辛い症状もない。
それは確かにそうなのですが、規則正しく生理(月経)がきていれば、全員望むように妊娠できるかというとそうではありません。
自然妊娠が見込めずに不妊治療を行った私の周りの4人の女性は、4人中2人が不妊に悩むまで月経不順はありませんでした。
はっきりとした不妊の原因が医師から告げられないまま、治療法のレベルを上げステップアップし、体外受精に至っています(男性側の原因も指摘されていないようです)。
そして、自身で体調を整えることで体外受精に成功したり、自然妊娠に至ったようです。一方、難なく妊娠に至った友人の中には月経不順があった人もいます。
現代の女性の標準的な月経
月経が規則正しくくるということは女性にとっての健康のバロメーターですということをお伝えしました。
では、どのような月経が理想的なのでしょうか。
現代で一般的に正常とされている月経は
28日前後(25~32日)
期間 3~7日
総経血量 50~250g ※1・2より
月経に伴う不快な症状については
骨盤周りの症状(腰痛・腹痛・お腹の張りなど) 頭痛、
消化器症状(吐き気、食欲不振など) 疲労感、
精神症状(イライラ、抑うつなど)
と、個人によって様々な症状があります。
以前まで月経にはマイナスなイメージがありましたが、現代ではそのイメージを拭い去り、明るいイメージにしようとしています。
また、「生理期間中の女性を労わりましょう」という思いやりの声を挙げる動きがあります。 もちろんそれは良いことですが、そもそも月経には不快な症状がないことが正常だということが忘れられていないでしょうか?
では、どのような月経が理想的なのでしょうか?
昔の女性の月経からヒントを得てみることにしました。
ナプキンがないころ、女性はどうしていたか?
日本での紙ナプキンの歴史はまだ浅く、50年ほどしか経っていません。
1961年に「アンネナプキン」という名前で発売されたのが始まりです。それまではどのようにしていたのでしょうか?
そもそも、着物を当たり前に着ていた江戸時代の女性は、現在のような下着は着けておらず巻きスカートのように腰に巻く「腰巻き」という布を巻いているだけでした。生理の際は前垂れのあるふんどし状の布で押さえていたそうです。
絹織物を裂いてくるくるまいて棒状にし、膣に入れて洗って繰り返し使っていたり、ボロ布や再生紙、植物(綿など)をあてがっていたといいます。
それだけで生活できていたのかということが疑問になりますよね?
かつての女性は経血をコントロールできていた
昔の女性は骨盤底筋群が発達しており子宮の中に経血を溜めることができていたといいます。
いわゆる、経血コントロールです。絹織物で作った棒状のものは、タンポンのようにすべて入れてしまうのではなく、先端を少しいれるだけだったそうです。経血で染みてくると重みで落ちやすくなるので、そのタイミングでトイレに行き腹圧をかけてトイレで経血を出していたそうです。
産婦人科医の三宅馨医師が、「若い世代でも尿もれをする女性が増えている。…かつての女性たちは月経血もコントロールできていたのに」と語っていたとあります。大正初期までに生まれた女性は実際に月経血をコントロールしていたようです(全員ではなかったようです)。
世代が10年変わると経血がコントロールできるということ自体を知らない、ともあります※3。
実際に私が85~92歳の方(2021年現在、昭和6~13年生まれ)の4名に話を聞くと、やはり月経血をコントロールできるということは聞いたことがないということでした。また、現代の女性たちのような不快な症状はあまり聞いたことがない、もしくは少なかったともおっしゃっていました。彼女たちの母親は着物を当たり前に着ていた世代ですが、どのように経血の処理をしていたかはご存知ないという方ばかりでした。
これは月経というものがタブー視されており、あまり話題にされなかったこと、経血コントロールは意識せずに自然と行っていたことだったため伝承されなかったと考えられます。
確かに、昔の女性は着物、和式トイレ、椅子のない生活、立った状態での出産、によって骨盤底筋群が鍛えられていたことは事実です。また、タブー視されていた月経中の女性は、月経中に女性が衣食住を行う小屋(月経小屋)があったため、月経期間中は現在とは違って休むことができていた場合もあります。ですが、それだけではなく昔の女性はそもそもの経血の量が少なかったと考えられます。
自然に調和して暮らしている現代の女性の月経
月経は「排泄」だという考え方があります。そのため、体に入った「毒素」が多ければ多いほど経血の量が多くなるそうです。
書籍「女性のためのナチュラルハイジーン」※4によると、2007年現在で自然に調和して暮らす健康的な女性たち(アメリカの南西部に専従するインディアンや北アメリカの先住民たち)は経血量は少なく、気がつかない程度で生理用ナプキンも使わないそうです。
生理時間20分というオーストラリアの部族もいるそうです。それでも妊娠・出産をして子孫を増やしているそうです。過去の日本の女性たちも、おそらく現代に比べ経血量が少なかったからこそ吸収力のあるナプキンなどの便利なグッズがなくともなんとかできていたのだと考えます(ただ、私がお話を伺った85~92歳の方は月経はとても大変だったとおっしゃっていました)。
現代の女性はそもそも経血量が多くなる
昔の女性に比べ、現代の女性は普通に生活をしているだけで、農薬や防腐剤、添加物、大気汚染、薬などの化学物質、電磁波、環境ホルモンなどが体に入ってきてしまいます。体にとって害のあるものは、肝臓や腎臓で代謝・解毒され、排便や排尿、皮膚からの発汗、時には湿疹となってあらゆる方法で体から排泄しています。月経時の血液も同様だということです。
中でも、注意したいものが環境ホルモンです。
環境ホルモンの中には「エストロゲン」という女性ホルモンに似た作用をするものが多くあります。現代の女性の初潮年齢が早くなっている原因の1つにこのエストロゲン過多があります。エストロゲンには、子宮内膜を厚くする作用があるため、必然的に経血の量がかつての女性たちよりも多くなってしまうということになります。
エストロゲンは赤ちゃんを胎内で育てるためにさまざまな働きをさせるため、卵巣や子宮だけではなく、心臓・血管・脳などさまざまな組織に影響を与えています。
詳しくは前回の記事をご覧ください。
「エストロゲンが女性に与える6つの恩恵とは?」

女性にはとくに注意したい環境ホルモン
環境ホルモンは、正式には内分泌撹乱(かくらん)物質とも言います。体の中で作られたホルモンと似た働きをする化学物質のことです。体内で作られたホルモンと全く同じように作用するのではなく、一部には作用したり、あるときは作用を阻害したりします。
自然界での解毒に数100年かかるものもあるといいます。そのため、肉や魚といった食物連鎖の 上位にある食べ物には濃縮されているといいます。
人間の体でももちろん解毒されないので、食べたものは蓄積してしまいます。それだけではなく、シャンプー、リンス、洗顔料、香水、消臭剤など様々な日用品にも使われています。
とくに女性は化粧品を多く使用するため、皮膚から吸収されます。また、経皮吸収の中でも膣からの化学物質の吸収率は大きく、腕からの吸収率の42~50倍、額からの吸収率の7~8倍です。月経中に使用する紙ナプキン(ケミカルナプキン)からの影響こそ大きいです。
環境ホルモンの怖さは知らず知らずに体内に取り込んでしまうこと、それが蓄積し続けることです。さらにそれを取り込んでしまった人だけではなく、もしお腹にいる赤ちゃんがいる場合、その赤ちゃん(女児)の将来に、生殖器の形成異常、月経の異常といった影響を与える場合があるということです。
女性は環境ホルモンにさらされやすく、かつ影響を受けやすいということになります。
世界的に見て、女性の初潮年齢は早くなってきています。これは栄養状態が改善したとも言われていますが、外から取り込むのエストロゲンの量が増え、エストロゲン過多になっていることが影響しています※2、4。体にとって毒となるものを排出できれば良いでのですが、砂糖の取り過ぎ、食物繊維の不足、運動不足やストレスによる血流低下、といったことから排出する力の方が弱くなると、月経に伴う不調が起き、そのような症状を自覚しなくとも子宮筋腫や子宮内膜症といった病気に繋がります。これらは突然なるのではなく、生活習慣で予防・改善できるものです。
現代の女性にとって、理想的な月経とは
このように、現代の女性は自然と様々な「毒」を体に取り込んでしまっているため、昔の女性に比べると経血量が多くなっていると考えます。
ここで私が考える理想的な月経とは、
・月経周期が約28日、ほぼズレない
・排卵後(月経周期14日後)に基礎体温が0.3~0.5℃上がる
・経血量は少なく、普通の血液よりもやや濃く、少しだけ粘り気がある
・経血に塊がない
・気がつかないうちに生理が始まり、不快な症状がなく終わる
となります。ただし、あくまで「理想」であって、実際には自分が食べたものや受ける身体的精神的ストレスによって変化します。特に、経血の状態は変化しなければならないものです。自分の経血の状態がどのようなものかを見てみるようにしましょう。
不快な症状のない月経を迎えるには、骨盤周りの筋肉が緩んでいる必要がある
「気がつかないうちに生理が始まり、不快なく終える」
この状態になると、生理の憂鬱さがなくなりますよね。そのためには必要不可欠なことがあります。
それは、骨盤周りの筋肉の硬さです。月経が始まる時には、排卵後からプロゲステロンというホルモンの影響で骨盤から開き、月経時には最も骨盤が緩んだ状態となります。月経は、卵子が受精しなかった際に使わなくなった子宮内膜が剥がれ落ちることです。骨盤は開いた状態にあることで経血も出しやすいのだと思います。
骨盤周りに伸び縮みしなくなっている筋肉があると、骨盤の動きがスムーズに行われず、生理不順や生理痛といった症状に繋がるということになります。月経に伴う不快感がないということは、適切にホルモンの分泌がされるということに加え、骨盤が開いたり閉じたりできるようにあることが必要だということになります。
【参考記事】長年の月経トラブルを解消した2つのポイント

経血のコントロールができる女性は、骨盤底筋群が発達していただけではなく、体は緩んだ状態(とくに骨盤周りの筋肉)で、膣口は開けたり閉めたりができる状態です。
骨盤底筋群を鍛えればいいとされがちですが、ただ単に膣口を締めればいいというわけではありません。膣口を閉めることと同時に緩めることも大事です。何より、体の中心であるお腹が緩んで力が抜ける状態である必要があります。
【参考記事】女性の尿もれ対策には骨盤底筋を緩めよう

そのためには体がリラックスすることが大事ですが、リラックスすることは1番大事なのですが、頭で「リラックスしよう」と思ってもなかなかできません。
筋肉を緩めると自然と体の力が抜けて心もリラックスします。
心と体は繋がっています。心の力が抜けないのであれば、体の力を先に抜いてしまいましょう。
私が普段行っているミオンパシーは筋肉を伸ばさず縮めることで自然と伸び縮みできるようにする施術です。どうしても筋肉が縮こまっている方はぜひ一度お試しください。
経血は意識して出し切る
私は油断するとすぐに生理不順になり、卵巣機能が不安定です。そんな私でも、布ナプキンに変えてから夜間大量に出ていた経血は朝起きてトイレで出るようになりました。
月経コントロールを知ってから、なるべくこまめにトイレに行き、意識して出すとさらに溜まっていた経血が出ます。経血の量によりますが、出そうだな、という感覚がわかります。それを確認すると嬉しくなります。お腹はお風呂で触って自分でも緩め、温めるようにしています。
これは私だけではありません。トイレに座って意識して出すだけで、いつもより期間が1日早かったという声がありました。月経血を子宮内に溜めるということは、体の状態によっては排泄すべきものを抑えることになってしまうため、健康から離れてしまうかもしれません。まずは経血を意識して出し切る。できる限り、体に毒になるものを避ける。
経血コントロールができるかな?と試してみる気持ちがあるだけで、月経に対する意識が変わり、自身の体への見方が面白くなってくるかもしれません。
参考文献
※1 最新不妊治療がよくわかる本 辰巳 賢一
※2 エストロゲンと女性のヘルスケア 武谷 雄二
※3 昔の女性はできていた 忘れられている女性の身体に”在る力 三砂 ちづる
※4 女性のためのナチュラルハイジーン 松田 麻美子